第15章 死穢八齋會
そして、あの時。
死穢八齋會の地下施設で出会った金髪の女性。
壊理のそばにいた、ステラ。
緑谷は、目の前の彼女を見つめた。
「……おもちさんが、ステラだったんですか?」
彼女は、一瞬だけ目を伏せた。
「ええ」
その一言で、最後の疑念まで消えた。
緑谷は息を呑んだ。
「じゃあ、あの時……僕たちが壊理ちゃんを連れて逃げようとした時も、ずっと……?」
「そうね」
「僕が、あなたに蹴りを入れた時も……?」
「ええ。あれは、なかなか痛かったわ」
彼女は冗談めかして微笑んだ。
その右腕には、まだ薄く痣が残っている。
緑谷の顔が、みるみる青ざめた。
「ご、ごめんなさい!僕、あなたが敵だと思って……!まさか、そんな事情があったなんて……!」
「謝らないで。あなたは自分が正しいと思うことをしただけでしょう?あの場で、あなたが私を敵だと判断したのは当然よ」
「でも……!」
「緑谷くん」
彼女は、穏やかに彼の言葉を遮った。
「あなたは壊理ちゃんを救った。私が任務で成し遂げたかったことのひとつを、あなたが実現してくれたのよ」
緑谷は、言葉を失った。
責められると思っていたわけではない。
それでも、自分が彼女にしたことを思えば、何か言わずにはいられなかった。
彼女はそんな緑谷を見て、困ったように眉を下げた。
「……そんな顔をしないで」
その表情に、爆豪が口を開いた。
「おい」
低い声だった。
彼女がそちらを向く。
「……何?」
「テメェ、今までずっと、あんなことやってたのか」
「どんなこと?」
「とぼけんな」
爆豪の目が鋭くなる。
「公安の任務だ。潜入だの、内偵だの。ヴィランの懐に入り込んで、バレりゃ殺されるような場所で、平気な顔して仕事してやがったのかって聞いてんだよ」
彼女は、少しだけ困ったように笑った。
「平気な顔をしていたつもりはないのだけれど」
「そういう話じゃねぇ!」
声が屋上に響いた。
緑谷が肩を揺らす。
オールマイトは、二人の様子を黙って見守っていた。