第15章 死穢八齋會
オールマイトは、ゆっくりと息を吐いた。
「……どうやら、話を続ける必要がありそうだな」
彼女は、二人から目を逸らせなかった。
聞かれてしまった。
公安。
潜入捜査。
ステラ。
死穢八齋會。
そして、自分が高校生ではなく、二十一歳の成人女性であるという事実。
どこまで聞かれたのか。
いつからそこにいたのか。
確かめたいことはいくつもあった。
けれど、二人の表情を見れば、答えを聞くまでもなかった。
緑谷は困惑していた。
爆豪は、怒っているようにも見えた。
いや。
怒りだけではない。
彼女がずっと隠してきたものに、ようやく触れた。
そんな顔だった。
「…………」
彼女は、ゆっくりと息を吸った。
今まで、どんな相手にも隙を見せなかった。
任務のために嘘をつき、必要な情報だけを与え、誰にも本当の自分を見せないようにしてきた。
それなのに。
一番知られたくなかった二人に。
一番知られてもおかしくない二人に。
自分の秘密を、聞かれてしまった。
「……そう」
やがて、彼女は小さく呟いた。
そして、いつものように笑おうとして――やめた。
今さら、取り繕っても仕方がない。
彼女は二人を見つめた。
「……どこから、聞いていたの?」
その声は、いつもの彼女のものだった。
けれど、いつもとは違う。
そこには、初めて隠しきれない動揺が滲んでいた。