第3章 USJ襲撃事件編
「……ねえ」
パフェを食べ始めた女子たちの中で、芦戸がふと顔を上げた。
「そういえばさ」
「ん?」
彼女が苺をフォークでつつきながら顔を上げる。
芦戸が身を乗り出す。
「USJの時の、あの個性!」
彼女の手が止まる。
「すごかったよね!」
葉隠が勢いよく続ける。
「脳無?とかいう化け物の動き止めたり、周りの物全部を一気に支配したり!」
「私も、あの時ヴィランに頭を掴まれそうになったけど、相澤先生とおもちちゃんにかなり助けられたわ。正直、驚いた」
蛙吹も頷く。
八百万が興味深そうに彼女を見る。
「確かに。入学してすぐの戦闘訓練では、あれほどの力、ほとんど使っていませんでしたもの」
耳郎も身を乗り出す。
「そうそう!必要最低限しか使ってなかったのにUSJでは、あんなに強かった」
麗日も首を傾げる。
「なんで、そんなに強いの?」
七人の視線が、一斉に彼女へ集まる。
「……」
彼女は苺を一つ口に入れた。
「…おいしい!」
「話そらした!」
芦戸が笑う。
「ふふ」
彼女は笑いながら、フォークを置いた。
「そんなに気になる?」
「なる!」
全員が即答した。
「んーと……」
彼女は少し考える。
本当のことを言えば、自分の個性は、扱いを間違えれば危険だ。
だから普段は抑えている。
それは公安からの指示でもあり、自分自身の意思でもあった。
けれど、ここで全部を話すわけにはいかない。
「……私の個性って、ちょっと扱いが難しいの」
「難しい?」
「うん」
「どんなふうに?」
八百万が尋ねる。
彼女は少しだけ視線を落とした。
「強く使えば使うほど、周りへの影響が大きくなる」
「なるほど……」
「だから、普段の訓練では必要以上に使わないようにしてるの」
これは嘘ではない。
「でもUSJの時は?」
麗日が聞く。
「先生もA組のみんなも危ない状況だったし…」
彼女は微笑む。
「必要だったから、使っただけ」
その言葉に、女子たちは一瞬静かになった。
「……か、かっこいい」
芦戸が頬を赤く染め、ぽつりと言う。
「え?」
「いや、普通にかっこよくない?」
耳郎も頷く。
「自分の力を抑えてるのって、怖いからとかじゃなくて、周りへの影響を考えてるってことでしょ?」
「そういうことなのかな」
「絶対そう!」