第15章 死穢八齋會
「…………」
爆豪勝己は、教室の少し離れた場所から彼女を見ていた。
窓際の席で、八百万や耳郎と話している金髪の女。
時折、口元に手を添えて笑う。その仕草は上品で、どこか大人びている。周囲の視線を自然と集める美貌も、落ち着いた物腰も、今さら見慣れたものだった。
周囲からは、よく言われている。
――A組の謎めいた美女。
戦闘になれば、恐ろしく強い。
個性も、未だにその全貌が掴めない。
冷静な判断力。状況を読む速さ。相手の動きを見て、次に何が起こるかを予測する能力。
クラスの中でも、頭一つ抜けている。
爆豪自身、それについて異論はなかった。
悔しいが、認めざるを得ない部分もある。
戦闘における彼女の判断は的確だ。無駄がなく、相手の思考の先を読む。時には、自分ですら予想しなかった手を打ってくる。
だからこそ、共に戦う時は信用している。
背中を預けてもいいと思える、数少ない相手の一人だった。
なのに。
「……チッ」
爆豪は舌打ちした。
あの女は、何かがおかしい。
そもそも、完璧そうに見えて、妙なところで抜けているのが彼女だった。
嫌味を言ったつもりが、ポジティブに受け取られて、まるで見当違いの認識をする。
戦闘中はあれほど頭が回るくせに、自分のことになると途端にずぼらになる。
部屋の中では気の抜けた格好で過ごしているし、疲れていればソファでそのまま寝落ちすることもある。食事を適当に済ませようとしたり、身の回りのことを後回しにしたり。
生活能力だけなら、本当に同じ人間かと思うほど隙だらけだ。
戦闘中と比べたら、まるで別人。
食えない女だ。
つかみどころがない。
秘密が多すぎる。
――だからこそ、気になって仕方がなかった。
いつからだろう。
教室に入ると、無意識にあいつの姿を探すようになったのは。
朝、席に着いていれば、今日も来ていると確認する。
授業中、教師の話を聞きながら、ふと視線が向いていることがある。