第15章 死穢八齋會
その目には、先ほどまでの動揺とは異なる決意が宿っていた。
「任務の詳細を問い詰めるためではない。公安の方針を変えられるかどうかも、今の私には分からない。だが、少なくとも、彼女自身が何を考え、何を背負っているのか。それを本人の口から聞きたい」
「そうしてやってくれ」
塚内は頷いた。
「彼女は、君にさえ何も話していない可能性がある。今回の任務については、情報管理が徹底されていたからね」
「それでもだ」
オールマイトは椅子から立ち上がった。
「私は、彼女の叔父だ。彼女が何を選ぶにせよ、彼女自身の気持ちを聞かずに、勝手に決めつけるつもりはない」
それから、机の上の資料にもう一度目を落とした。
死穢八齋會への内偵。
五年以上の実務経験。
本免許の付与。
そして、明らかになった彼女の個性。
一つひとつが、彼女に新たな役割を背負わせる理由になっている。
だが、オールマイトには、別のことが気がかりだった。
彼女は、今回の任務で何を見たのだろう。
誰を守ろうとしたのだろう。
そして、何を一人で抱え込んでいるのだろう。
「……待っていてくれ、おもち」
誰にも届かない声で、彼は呟いた。
「今度は、私が君の話を聞く番だ」
彼女が何を隠していても。
どれほど危険な任務を背負っていても。
叔父として、彼女が一人で抱え込むことを、当たり前にはさせない。
オールマイトは、そう心に決めていた。