第15章 死穢八齋會
死穢八齋會が危険な組織であることは知っていた。警察が捜査を進めていたことも、当然把握している。
だが、塚内の口ぶりから察するに、今回の話はそれだけではない。
「君の姪御さんは、その内偵に参加していたんだ」
「……何だって?」
思わず聞き返した。
塚内は一度、目を伏せた。
「今回の情報は、警察の中でも一部の人間しか知らない。公安との協力関係に関わる機密事項だからね。君に話すことについても、慎重に判断した」
「待ってくれ、塚内君」
オールマイトは片手を上げ、彼の言葉を遮った。
「彼女の任務は、雄英内部の調査と、生徒たちの観察だったはずだ。死穢八齋會に潜入していたなど、私は聞いていない」
「そうだろうね。君にも知らせていなかったんだ」
「なぜだ!?」
思った以上に強い声が出た。
塚内は驚かなかった。
むしろ、そうした反応が返ってくることを予想していたようだった。
「公安は、彼女の存在そのものを隠していた。死穢八齋會への潜入についても、彼女がどこまで組織に入り込んでいたのかも、外部には明かされていない。警察側でも、詳細を知る人間は限られている」
「しかし……彼女はまだ、雄英の生徒として生活しているんだぞ」
「戸籍上の年齢と、実際の経歴が違うことは承知している。彼女は二十一歳だ。公安での実務経験もある。だが、だからといって、どんな任務でも引き受けられるということにはならない」
塚内は、そこで言葉を切った。
「だからこそ、君に伝えておきたいと思ったんだ」
机の上に、一枚の資料が置かれた。
オールマイトはそれを手に取り、目を通した。
そして、数秒後。
「……これは、一体……」
声がかすれた。
資料には、彼女が公安で積んできた実務経験の概要と、今回の事件に関する情報が記されていた。
彼女は、すでに五年以上の実務経験を有している。
そして、今回の仮免許試験において、通常の受験者とは異なる経歴を考慮され、公安の判断によってヒーローの本免許を付与されていた。
「彼女は、仮免許試験を受けていたはずだ」
「そうだ。表向きは、ほかの生徒たちと同じようにね」
「それが、なぜ本免許に……」