第15章 死穢八齋會
翌日。
警察署の一室で、オールマイトは塚内直正と向かい合っていた。
普段の彼なら、誰に対しても朗らかな笑顔を向けていただろう。しかし、今日ばかりは違った。机を挟んで座る塚内の表情が、いつになく硬かったからだ。
「わざわざ時間を取ってもらってすまない、オールマイト」
「いや、構わないさ。それで、今日はどういった話なんだい?」
オールマイトは穏やかに尋ねた。
しかし、塚内はすぐには答えなかった。手元の資料に一度目を落とし、慎重に言葉を選ぶようにして口を開いた。
「君には、知っておいてもらった方がいいと思ってね。公安での、君の姪御さんの任務についてだ」
その言葉に、オールマイトの表情から笑みが消えた。
彼女が公安に所属していることは知っている。
雄英高校の生徒として生活する一方で、公安の指示を受け、裏で任務を遂行していることも。
そして、その任務の中には、ヴィランの殺害も含まれていることも。
彼女がまだ幼かった頃から、オールマイトはその事情を知っていた。
彼女の両親を失った事故。彼女が背負うことになった秘密。そして、普通の子供として生きる道を選べなかった事情。
すべてを理解しているとは言えない。それでも、彼女がどれほどのものを背負っているのか、叔父として見てきたつもりだった。
だからこそ、雄英への潜入任務が決まった際も、彼女がどのような役割を担うのか、事前に説明を受けていた。
彼女は二十一歳の成人女性でありながら、雄英高校の生徒として内部に潜入している。
本来の年齢や経歴を隠し、クラスメイトたちと同じ制服を着て、同じ授業を受ける。
その目的は、ヴィランの内通者をあぶり出すこと。そして、雄英高校の生徒たちの動向を観察し、必要な情報を公安へ報告すること。
それが、オールマイトの知る彼女の任務だった。
「……何かあったのかい?」
声の調子が変わった。
塚内は小さく頷いた。
「先日の死穢八齋會への突入作戦について、覚えているね?」
「ああ。緑谷少年たちも関わった事件だろう」
「そうだ。実は、あの作戦の裏で、公安が独自に内偵を進めていた」
「内偵?」
オールマイトは眉を寄せた。