• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第15章 死穢八齋會


地下研究所には、薬品の刺激臭と、機械が発する低い駆動音だけが残っていた。


遠くから聞こえていた戦闘音も、次第に遠ざかっていく。

おもちは端末の前に立ち、手際よくキーボードを操作していた。知崎の敗北は、ほぼ確実だった。



ならば、ここでやるべきことは一つ。
死穢八齋會の残党を逃さず、組織の実態を明らかにする証拠を押さえること。


画面には、薬の密売に関与した人物の氏名、取引記録、隠れ家の住所、資金の流れが次々と表示されていく。彼女は必要なデータを選別し、暗号化された記録ごと端末から抜き取った。



死穢八齋會を解体する。それだけでは終わらせない。
この組織とつながっていたヴィラン連合の情報まで手に入れれば、次の事件を未然に防ぐ手掛かりになる。


「……これで、ひとまず十分ね」


データの転送が完了したことを確認し、彼女は小さく息をついた。



そのときだった。

「……おい、あんた!」

背後から、低く警戒した声が響いた。
振り返ると、研究所の出入口に大柄な男が立っていた。ファットガムだ。その腕には、満身創痍の切島が抱えられている。


ファットガムは彼女の顔を見た瞬間、眉をひそめた。
見覚えがある。


知崎の背後で、幼い少女を抱きかかえていた金髪の女。あのときは壊理を連れていたせいで、顔をじっくり確認する余裕もなかった。


改めて向き合うと、彼女の美しさが否応なく目に入る。艶やかな金髪に、隙のない立ち姿。こんな場所には不釣り合いなほど整った容姿だった。


一瞬、目を奪われた。

だが、すぐにファットガムは意識を引き締めた。
知崎の側にいた女が、なぜ一人で地下研究所にいる?


「あんた、知崎と一緒にいた仲間やな?」


彼女は端末から手を離し、ゆっくりと振り返った。
「あら。覚えていてくださったんですね」
場違いなほど穏やかな微笑み。

その声には、焦りも動揺も感じられない。


「質問に答えてくれ。知崎のところにおったやろ。壊理ちゃんを抱いてた女や」


「ええ。そうでしたね」


否定しない。
/ 745ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp