第15章 死穢八齋會
「壊理ちゃんを返せ!!」
ミリオの叫びが地下通路に響き渡った。
次の瞬間、彼の身体が床へと沈み込む。治崎の個性によって変形する地面をすり抜け、攻撃をかわしたミリオは、一気に間合いを詰めた。
「邪魔なんだよ、ガキが」
「邪魔なのは、そっちだ!!」
治崎の拳が迫る。ミリオは紙一重でそれをかわし、反撃を繰り出した。
幾度となく地面が隆起し、壁が砕ける。治崎の攻撃は容赦がなかったが、ミリオは一歩も退かなかった。
傷だらけの身体を動かすたび、痛みが全身を駆け抜ける。それでも、彼の目は壊理から離れなかった。
絶対に、助ける。
その一心で、彼は戦い続けていた。
おもちは、少し離れた場所からその光景を見つめていた。
腕の中では、壊理が小さく震えている。
治崎の攻撃が床を砕くたび、少女の肩が跳ねた。耳を塞ぐようにして顔を伏せる姿に、彼女はそっと壊理を抱き直した。
「大丈夫だよ」
耳元で囁く。
けれど、壊理の震えはなかなか収まらなかった。
目の前で繰り広げられる戦闘。怒鳴り声。破壊されていく壁。自分を取り戻そうとするヒーローと、それを阻もうとする恐ろしい男。
壊理にとって、それはあまりにも恐ろしい光景だった。
その時。
轟音とともに、横の壁が大きく砕け散った。
「壊理ちゃん!!」
聞き覚えのある声が響く。
土煙の向こうから現れたのは、緑谷出久だった。
その隣には相澤消太、そしてサー・ナイトアイの姿もある。
彼らは別の通路から壁を突き破り、戦闘の場へと乱入してきたのだ。
「緑谷君……!」
おもちは、思わず心の中でその名を呼んだ。
ようやく、ここまで来てくれた。
胸の奥に、張り詰めていたものが緩みそうになる。
けれど、今はまだ気を抜けない。
彼女は表情を整え、周囲の様子を確認した。
緑谷は壊理の姿を見つけると、すぐさま駆け出そうとした。
しかし、治崎が立ちはだかる。相澤とナイトアイも、それぞれの位置を取り、敵の動きを警戒していた。
戦いは、さらに激しさを増していく。
その混乱から少し離れた場所で、おもちは壊理を抱いたまま、静かに膝を折った。
少女と目線を合わせる。