第15章 死穢八齋會
そして、突撃の日が訪れた。
地下深くに築かれた死穢八斎會の施設。
外の世界から隔絶されたこの場所にも、異変は伝わってきていた。
遠くから響く、重い振動。
廊下の向こうで交わされる怒号。
普段は規則正しく響いている足音が、慌ただしく乱れている。
何かが起きている。
いや、違う。
ついに、始まったのだ。
公安、警察、そしてプロヒーローたちが動き出した。
彼女が送り続けた情報が、ようやく現実を変えようとしている。
おもちは、壊理の小さな手を握った。
「……おねぇちゃん?」
不安そうに見上げる少女に、彼女はいつもと変わらない笑顔を向けた。
「大丈夫だよ」
それ以上は言えなかった。
今、外で何が起きているのか。誰が来ているのか。これから何が始まるのか。
教えてあげたいことは、いくつもあった。
けれど、まだだ。
彼女の正体が露見するわけにはいかない。治崎に疑われれば、壊理の身に危険が及ぶ可能性がある。
だから彼女は、何も知らない構成員の顔を保ち続けた。
「ステラ!」
荒々しい声が響く。
振り返ると、治崎が立っていた。
黒いマスクの奥から覗く目は、いつにも増して険しい。地上の異変を察知しているのだろう。彼の周囲には、緊張した構成員たちが集まっていた。