第15章 死穢八齋會
緑谷も、力強く頷く。
「はい。もう二度と、あんな思いをさせたくありません」
ナイトアイは二人の様子を見つめ、ゆっくりと目を伏せた。
未来は、必ずしも望んだ通りに進むとは限らない。
それでも、今ここにある情報は、これまで見えなかった可能性を切り開こうとしている。
彼は資料を閉じ、作戦の詳細へと話を進めた。
会議室の誰一人として、知る由もなかった。
その情報を集め、命懸けで公安へ送り続けている人物が、緑谷たちのよく知るクラスメイトであることを。
普段は雄英高校で机を並べ、授業を受け、時には他愛のない会話を交わしているおもち。
彼女は今も、金髪のウィッグと濃い化粧で本来の姿を覆い隠し、死穢八斎會の一員として壊理のそばにいた。
腕の中で眠る少女の髪を、そっと撫でながら。
「……もう少しだけ、待っていてね」
誰にも聞こえない声で、彼女は囁いた。
救出作戦が始まれば、状況は一変する。
それまで自分にできることは、壊理を守り、治崎に疑われず、作戦に必要な情報を送り続けること。
自分の正体を明かすことはできない。
緑谷たちに助けを求めることもできない。
それでも、構わなかった。
あの子がこの場所から出られるのなら。
そして、いつか怯えることなく笑える日が来るのなら。
彼女は再び、完璧な嘘を纏う。
クラスメイトたちが、自分の正体を知るその時まで。