第13章 ヒーロー仮免試験
その様子を見て、彼女は小さく笑った。
「……ふふっ」
「ん? どうしたの、おもちさん?」
近くにいた麗日が、不思議そうに顔を覗き込んだ。
「ううん。みんな、すごいなと思って」
「え?」
「悔しいことがあっても、すぐに前を向けるでしょう? そういうところ、素敵だなって」
彼女の言葉に、麗日はぱっと笑顔になった。
「そうだよね! みんなで頑張ろうね!」
「ええ、そうね」
彼女は頷いた。
本免許を手にしたことを、今すぐ心から喜べるわけではない。
公安との問題も、龍の力のことも、解決したわけではない。
けれど、考えることを放棄するのは、もう少し先でもいい。
せっかく手に入れた資格だ。
誰かの思惑だけで、その意味を決められてたまるものか。
この免許をどう使うか。それくらいは、自分で決めてみせる。
彼女は胸の内でそう呟き、今度こそ、クラスメイトたちの輪へと歩み寄った。
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夕方。
長かった仮免許試験を終えた生徒たちは、着替えを済ませ、それぞれ帰りのバスへと向かっていた。
彼女もまた、試験用の服から雄英の制服へと着替え、肩の力を抜いて歩いていた。身体の傷は不思議なほどきれいに消えていたものの、一日の疲労はさすがに残っている。
今日はもう、何も考えずに帰りたい。
そんなことを考えていた矢先だった。
「おもちさあああん!!」
背後から、聞き覚えのある大きな声が響き渡った。
彼女の肩が、びくりと跳ねる。
――まさか。
振り返るより早く、夜嵐が目の前に現れた。
「好きです!!」
「……えっ?」
勢いよく頭を下げた夜嵐は、次の瞬間、彼女の柔らかな手を両手で包み込んだ。
「今日の試験で、改めて確信しました! あなたは本当に素晴らしい人です! あの状況でも諦めず、傷つきながらも立ち上がり、誰かを守ろうとするその姿! 俺は感動しました!!」
「え、ええと……」
「あなたの強さも、優しさも、そしてその美しさも! 全部、全部素敵です!!」
熱い。
とにかく、熱量がすごい。