第13章 ヒーロー仮免試験
今はただ、目の前で喜んでいるクラスメイトたちを眺めていたかった。
そのとき、会場の一角から、ひときわ重苦しい空気が漂ってきた。
「……あ?」
爆豪がモニターを睨みつけていた。
その隣では轟が静かに目を伏せ、夜嵐もまた、悔しそうに肩を落としている。
三人の名前は、合格者一覧にはなかった。
不合格。
あれほどの実力を持つ三人が、揃って仮免許を手にできなかったのだ。
「えっ、嘘だろ……?」
上鳴が目を丸くする。
「爆豪と轟が落ちたのか!?」
切島も信じられないという顔をした。
A組の二大実力者ともいえる二人に加え、圧倒的な個性の使い手である夜嵐まで不合格。周囲の受験者たちにも、驚きが広がっていた。
爆豪は、握り締めた拳を震わせていた。
「クソが……!」
吐き捨てるような声。
轟は何も言わず、モニターから視線を外した。
試験中、自分が何をしてしまったのか。
仲間との連携を乱し、感情に引きずられ、救助すべき人々を危険に晒した。
実力が足りなかったわけではない。
それでも、ヒーローとして必要なものが足りなかった。
その事実を、彼は理解していた。
夜嵐もまた、悔しさを隠せずにいた。轟への感情に囚われ、試験中に冷静さを失ったこと。それが結果に響いたのだろう。
会場のざわめきが落ち着くのを待ち、目良が前に出た。
「今回、不合格となった受験者の皆さんに、ひとつお知らせがあります」
一斉に視線が集まる。
「三か月後、仮免許の再試験を実施する予定です。ただし、再試験を受けるためには、指定された補講を受講していただく必要があります」
その言葉に、爆豪が顔を上げた。
「補講だと?」
「はい。今回の試験で見えた課題を改善するためのものです。内容は決して簡単ではありません。厳しい指導になることを覚悟してください」
目良は淡々と説明を続けた。
「ですが、今回の不合格は、皆さんにヒーローとしての素質がないという意味ではありません。むしろ、今後の成長を期待しているからこそ、再び挑戦する機会が設けられたのです」
それは、彼らの実力だけではなく、将来性も見込んだ救済措置だった。
「三か月後……」
轟が小さく呟く。
その表情から、先ほどまでの落胆が消えていく。