第13章 ヒーロー仮免試験
彼女は再び相澤を振り返ると、いつもの柔らかな笑顔を浮かべた。
「それに、先生」
「何だ」
「私、こう見えて、結構しぶといんですよ?」
相澤は数秒、彼女を見つめた。
そして、深々とため息をついた。
「……知ってる。今日、嫌というほど見せつけられた」
ギャングオルカの攻撃を受けても、傷だらけになっても、彼女は立ち上がった。
自分の限界を超えてまで、誰かを守ろうとした。
その執念深さは、教師である相澤も認めざるを得ない。
「だが、ひとつだけ覚えておけ」
「はい?」
「一人で抱え込むな。公安が相手だろうと、お前が生徒である以上、俺にはお前を守る責任がある」
彼女は目を丸くした。
それから、ふっと表情を和らげる。
「……ありがとうございます、先生」
「礼を言う前に、まずは怪我を治せ。さっきの状態でまだ平気な顔をしていたら、今度こそ強制的に病院へ連れていく」
「あら。もう治っていますよ?」
「は?」
「ほら、どこも痛くありません」
彼女は軽く腕を回してみせた。
相澤の表情が固まる。
試験終了直後、彼女がまともに立つことさえできなかったのを、彼は自分の目で見ていた。
「……お前、何を言っている」
「私も聞きたいくらいです」
彼女は苦笑した。