第13章 ヒーロー仮免試験
「ひとつだけ、確認させてください」
彼女は目良を見つめた。
「これは、私への打診ですか。それとも、すでに決定した命令ですか」
目良はすぐには答えなかった。
その沈黙こそが、何より雄弁だった。
彼女は静かに目を閉じる。
――やっぱり、そうなのね。
本免許という名の資格。
合格という名の通達。
そして、レディ・ナガンの後継者という、望んでもいない役割。
彼女が雄英で手に入れようとしていたものは、ヒーローとしての資格だけではなかった。
自分の意思で、自分の守りたいものを選ぶ自由だった。
目を開いた彼女は、真っすぐに目良を見据えた。
「……私の答えは、まだお伝えできません」
その言葉に、相澤が彼女へ視線を向ける。
彼女は微笑んでいた。
けれど、その瞳の奥には、決して譲るつもりのない意志があった。
「ただ、ひとつだけ。私は、誰かの代わりになるためにヒーローを目指しているわけではありません」
レディ・ナガンの代わりでもない。
公安の都合のいい駒でもない。
彼女は、彼女自身の意思で、自分の未来を決める。
その決意だけは、誰にも奪わせるつもりがなかった。