第13章 ヒーロー仮免試験
耳をつんざくような超音波が、彼女の全身を襲う。
「っ……!」
予想を上回る衝撃に、彼女の表情が歪んだ。
音が耳の奥を突き抜け、脳を直接揺さぶられるような感覚。平衡感覚が乱れ、視界が激しく明滅する。身体を支えようとしても、手足にうまく力が入らない。
まずい。
そう判断したときには、もう遅かった。
彼女の膝が崩れ、身体が地面へと倒れ込んだ。
「……っ、は……」
息を吸うだけで、胸の奥に鋭い痛みが走る。
先ほど吹き飛ばされた際に受けた衝撃。子どもを庇って負った傷。そして、容赦なく浴びせられた超音波攻撃。
それらが一度に押し寄せ、彼女の身体を容赦なく追い詰めていた。
起き上がらなければ。
まだ、守らなければならない人がいる。
頭では分かっているのに、身体が動かない。
指先に力を込めようとしても、地面を掴むことさえできなかった。意識が遠のきかけ、視界の端が黒く染まっていく。
こんなところで、倒れているわけにはいかないのに。
彼女は歯を食いしばった。
その頃、少し離れた場所でも、同じ攻撃が生徒たちを襲っていた。
「ぐっ……!」
夜嵐の身体が大きく揺らぎ、そのまま地面に膝をつく。得意の風を操ろうとしても、意識と身体の感覚が噛み合わず、思うように個性を発動できない。
轟もまた、片膝をついた状態から立ち上がれずにいた。
炎も氷も、今は思うように操れない。身体の芯が揺さぶられたような感覚が残り、呼吸を整えることさえ難しかった。
「くそ……身体が……!」
夜嵐が悔しげに声を漏らす。
轟は歯を食いしばり、視線だけで周囲を確認した。救護班はまだ危険に晒されている。緑谷と真堂も、ヴィランたちを食い止めるために限界まで力を使っていた。
そして、少し離れた地面に倒れ伏す彼女の姿が目に入った。
「……!」
轟の目が見開かれる。
先ほどまで、あれほど執念深くギャングオルカに食らいついていた彼女が、今は指一本動かせずにいる。
立ち上がろうとしているのか、地面に置かれた手がわずかに震えていた。
それでも、身体は起き上がらない。