第13章 ヒーロー仮免試験
相澤は、モニターから目を離さなかった。
もちろん、試験会場には安全管理のための仕組みが設けられているはずだ。だが、それを踏まえても、受験生たちに求められる水準は明らかに高い。
オールマイトの引退。
そして、社会の均衡が崩れ始めたことに伴うヴィランの増加。
これまでヒーロー社会を支えてきた象徴が失われ、人々の不安が広がる中、公安もまた、従来の育成方法だけでは不十分だと考えているのかもしれない。
仮免を取得させることが目的なのではない。
免許を手にしたその先で、彼らが生き残り、市民を守り続けられるか。
予想外の事態に直面したとき、ヒーローとして何を優先し、どう判断するのか。
そして、恐怖や混乱に呑み込まれず、最後まで人を助けることができるのか。
公安は、受験生たちの中にある本当の資質を見極めようとしているのだろう。
「……厳しいなぁ」
ミセスジョークが小さく呟いた。
「ええ。でも、今の時代にヒーローになるなら、いつかは向き合わなければならない現実でもある」
相澤は静かに答えた。
それでも、教え子たちを見守る目は、決して穏やかではなかった。