第13章 ヒーロー仮免試験
試験会場を見下ろす観客席。
受験生たちの動きを見守っていた相澤消太は、モニターに表示された新たな指示を見て、眉間に深い皺を刻んだ。
「……おい。まさか、ここで投入する気か?」
ミセスジョークも、画面を見つめて目を見開く。
「ちょっと待って。あれ、聞いていた内容と違わない?」
二人の視線の先では、試験会場の一角に新たな動きが生じていた。
救助演習の進行を管理していたスタッフたちが配置を変更し、別のゲートがゆっくりと開き始める。
そこから現れたのは、屈強な体格を持つ男と、大勢の人影だった。
ヒーローチャートナンバー10。
プロヒーロー、ギャングオルカ。
そして、彼が率いるヴィラン役の集団である。
「まさか……仮免試験で、プロヒーローをヴィラン役に投入するなんて」
ミセスジョークの表情から、いつもの軽やかさが消えていた。
「救助活動に加えて、ヴィランの制圧までやらせるつもりか」
相澤の声も険しい。
仮免試験とはいえ、これはあまりにも本番に近い。
事前に知らされていないイレギュラーな事態。しかも、相手は実力のあるプロヒーローであり、単なる模擬戦の相手ではない。
救助を優先すれば、ヴィランへの対応が遅れる可能性がある。
反対に、ヴィランの制圧に集中すれば、負傷者への対応がおろそかになる。
その両方を同時にこなさなければならないのだ。
「こんなの、今までの仮免試験では前代未聞よ……」
「……公安も、本気で受験生を試しにきたらしいな」