• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第3章 USJ襲撃事件編


戦いが終わった。
ようやく張り詰めていた空気がほどけ始めたUSJの中で、彼女はまだ、身体の奥に残る高揚感を感じていた。
敵に向けた殺気。
自分の個性が、想像していた以上に自由に動いた感覚。
壁も、床も、瓦礫も。
触れたものすべてが、自分の手足になっていくような感覚だった。
――もっとできる。
戦っている最中、何度もそう思った。

「……大丈夫?」

彼女が振り返った先にいたのは、傷ついたクラスメイトたちだった。

「怪我、見せて」
先ほどまで敵を追い詰めていた人物とは思えないほど、穏やかな声。

彼女はしゃがみ込み、負傷した生徒の腕を確認する。

「ここ、痛む?」

「え、あ……うん」

「骨には問題なさそう。無理に動かさないでね」
持っていた救急用品を取り出し、手際よく応急処置をしていく。
別の生徒が足を押さえているのを見つければ、すぐにそちらへ向かう。

「あなたも。見せて」

「いや、俺は大丈夫――」

「大丈夫じゃないから座って」
有無を言わせない声。
けれど、その表情には先ほどの殺気など微塵もない。

「……はい」

言われた生徒が素直に座る。
彼女は小さく息を吐いて、その傷を確認した。

「痛かったでしょう」

「……まあ」

「よく頑張ったね」
その一言に、生徒は少しだけ目を見開いた。
そんな彼女を、少し離れた場所から轟が見ていた。

――同じ人なのか。
ふと、バスの中での光景が蘇る。
揺れる車内。
隣に座っていた彼女。
戦闘のことなど何も知らないような、無防備な寝顔。
頭が自分の肩に触れても起きることなく、静かに眠っていた。

「……静かにしてくれ。彼女が寝てるんだ」

あのとき自分が言った言葉まで思い出す。
そして今、目の前にいる彼女は、敵を相手に笑っていた。
銃を構え、地面を操り、瓦礫を利用し、敵の動きを完全に封じる。
しかも、その個性は触れたものを介して広がり、敵そのものを支配してしまう。
轟は、改めて背筋に冷たいものを感じた。
――あんな個性を持っていたのか。
それなのに。

「ここ、包帯もう少し強く巻くね」

「ありがとう」

「ううん。気にしないで」
目の前の彼女は、いつものように笑っている。

/ 603ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp