第13章 ヒーロー仮免試験
緑谷たちは、そんな彼女の姿に刺激を受けていた。
強いだけではない。
誰よりも周囲を見て、誰よりも冷静に考え、それでいて、目の前の人の気持ちを決して置き去りにしない。
彼女の強さは、個性の威力だけでは測れないのだ。
そして、そのことを最もよく理解しているのは、彼女自身ではなかった。
彼女はただ、目の前の人を助けるために、今できることをしているだけだった。
その背中を追うように、A組の面々もまた、次の救助現場へと走り出した。
***
救助演習が始まってから、しばらくの時間が経過していた。
最初こそ判断に迷い、思うように動けなかったA組の面々も、次第に互いの役割を理解し始めていた。
緑谷が負傷者の状態を確認し、八百万が必要な資材を用意する。障子が広範囲の状況を把握し、轟が崩落の危険を抑える。麗日や蛙吹たちも、それぞれの個性を活かして救助活動に尽力していた。
そして、その全体を俯瞰しながら、おもちが的確な指示を出していく。
「そっちの負傷者は、搬送の前にもう一度状態を確認して! 呼吸や意識に変化があったら、すぐに教えてね」
「分かった!」
「轟君、そこの瓦礫はまだ危ないから、救助が終わるまで周囲への注意をお願い!」
「ああ」
互いの声が飛び交う中、少しずつ連携が形になっていく。
誰か一人が突出するのではなく、それぞれができることを見つけ、補い合う。
その積み重ねによって、A組の団結力は確実に高まっていた。
しかし――。
彼らを見守る試験官たちは、まだ次の段階を残していた。