第13章 ヒーロー仮免試験
喜びに沸いていたA組の面々に、試験官から次の言葉が告げられた。
『一次選考を通過した皆さん、おめでとうございます』
会場に設置されたモニターに、試験官である目良の姿が映し出される。
『これより行われる選考が――最後となります』
「最後……?」
緑谷が小さく呟いた。
先ほどまでの賑やかさが嘘のように、待機所が静まり返る。
やがて、モニターの映像が切り替わった。
そこに表示された文字は、二次試験の内容を示していた。
二次試験:救助演習。
「救助……」
緑谷がその文字を見つめる。
今までとは違う。
相手を倒す試験ではない。得点を稼ぐために、一人で突っ走る試験でもない。
困っている人を見つける。状況を判断する。安全を確保する。仲間と連携する。
そして――人を助ける。
画面の中で、目良が静かに口を開いた。
『ここからが本番です』
受験生たちの視線が、一斉にモニターへと集まる。
『一次試験では、それぞれが自分の力で生き残りました。しかし、ヒーローは一人で全てを解決する仕事ではありません』
画面が再び切り替わる。
そこに映し出されたのは、広大な敷地に設けられた複数の試験ゾーンだった。
『次は、皆さん全員で動き、市民の救助にあたってください』
その瞬間。
轟音が響き渡った。
映像の中で、先ほどまで受験生たちが駆け回っていた各ゾーンの建物が、次々と崩壊していく。道路には亀裂が走り、建物の外壁が崩れ落ち、瓦礫が周囲に散乱した。
「うわっ……!」
上鳴が思わず声を上げる。
さらに画面には、倒壊した建物の下敷きになった人々の姿が映し出された。
頭から血を流す子ども。足を瓦礫に挟まれた成人男性。身動きの取れない高齢者。痛みにうめき、助けを求める人々。
もちろん、彼らは救助される側を演じるプロの役者たちだ。
しかし、負傷者の配置や演技は極めて現実的であり、現場の混乱まで忠実に再現されていた。