第13章 ヒーロー仮免試験
口田は静かに鳥たちを見上げていた。
「……今だ」
鳥たちが旋回する。
視界を遮る。
道を作る。
飯田と青山は、その間を走り抜けた。
「口田くん!」
飯田が叫ぶ。
口田は小さく頷いた。
言葉は少ない。
けれど――。
やっていることは、確かに仲間を助けることだった。
青山は走りながら、ふと笑った。
「……なるほど」
飯田を見る。
「僕たち、ちゃんとA組なんだね」
飯田も前を向いたまま答えた。
「ああ!」
一人が動けば、別の誰かが支える。
誰かが囮になれば、誰かが道を作る。
離れていても。
互いの姿が見えなくても。
A組は少しずつ、ひとつにつながっていた。
モニターに、次々と名前が表示されていく。
――通過。
――通過。
――通過。
そして。
最後の一人の名前が表示された瞬間。
「……!」
待機所にいたA組の生徒たちが、一斉にモニターを見上げた。
表示された結果は――。
雄英高校1年A組 全員一次選考通過。
「やったぁぁぁ!!」
「全員だ!」
「マジかよ!」
歓声が上がる。
彼女もモニターを見つめたまま、ふっと息を吐いた。
「……全員」
隣にいた轟が頷く。
「ああ」
ここまで来るまで、全員が別々の場所で戦っていた。
誰かは仲間と組み。
誰かは一人で耐え。
誰かは自分を囮にし。
誰かは遠くから仲間を支えた。
全員がここにいる。
「……よかった」
彼女が小さく呟いた。
その言葉に、緑谷も頷く。
「うん……!」