第13章 ヒーロー仮免試験
待機所。
彼女は周囲を見渡した。
そして、人数を数える。
「……一、二、三……」
全員が揃っているわけではない。
「雄英の通過者は……十一人」
その数字に、少しだけ空気が重くなる。
「じゃあ、残りは九人か」
誰かが呟いた。
緑谷もその数字を聞いて、拳を握る。
「……みんな、無事でいて」
だが、その直後。
モニターの表示が変わる。
残りの枠は――十人。
「……!」
*
別の場所。
飯田と青山は、行動を共にしていた。
「青山くん! こちらへ!」
飯田が周囲を警戒しながら走る。
「分かっているとも!」
二人は何度も他校の受験生を振り切ってきた。
けれど――。
飯田は一人ではなかった。
A組の仲間たちが、まだ試験会場に残っている。
「……僕たちだけが先に進んでも、意味がない」
飯田はそう言って、再び仲間のいる方向へ視線を向ける。
その横顔を見ていた青山は、黙っていた。
いつもの彼なら、自分が目立つことを優先する。
けれど飯田は違う。
自分たちだけの合格ではなく、最後までクラス全員のことを考えている。
「……飯田くん」
「何だい?」
青山は、少しだけ笑った。
「君って、本当に……」
そして。
「クラスのことばっかり考えてるんだね」
飯田が振り返る。
「当然だろう!」
その言葉を聞いた瞬間。
青山は決意した。
「だったら――」
青山のへそからビームが放たれる。
一直線に空へ。
「僕が囮になる!」
「なっ!?」
ビームは遠くからでも目立つ。
当然、他校の受験生たちが集まってくる。
「青山くん!」
「僕はもう2つボールを当てられている。あと1つで僕脱落なんだよね、だから、僕を狙いに来た人にボールをあてるんだ!君にゆずっちゃう!!」
「そんなことはできない!」
飯田は首を振った。
「仲間を置いて、自分だけ――!」
その瞬間。
空から大量の鳥が舞い降りてきた。
「……え?」
一羽。
二羽。
十羽。
いや、それどころではない。
鳥の群れが一斉に旋回し、集まってきた受験生たちの視界を遮っていく。
「なんだ!?」
「鳥だと!?」
混乱する受験生たち。
その隙に、飯田と青山の前へ鳥たちが集まってくる。
少し離れた場所。
そこにいたのは――口田だった。