第13章 ヒーロー仮免試験
「ちょっと待って! おもち、今の受け取り方、天然すぎない!?」
「爆豪くんの乱暴な言葉を、心配してくれたって解釈するなんて……」
蛙吹も口元を押さえている。
「でも、悪い意味にばかり受け取らないところは、素敵だと思いますわ」
八百万が微笑むと、麗日も何度も頷いた。
「うんうん! なんか、こっちまでほっとしてしもた!」
麗日もどこか楽しそうに目を細めた。
女子たちの間に広がる和やかな空気。
その中心で、おもちは不思議そうに首を傾げている。
「……私、何かおかしなことを言ったかしら?」
「言った! めちゃくちゃ言った!」
耳郎が即座に答え、再び笑い声が弾けた。
一方、爆豪はというと。
「……チッ」
舌打ちをして、乱暴に顔を背けた。
自分の言葉をあんなふうに受け取る人間など、今までほとんどいなかった。
怒るでもなく、言い返すでもなく。
ただ、まっすぐに礼を言って笑う。
調子が狂う。
どうにも、調子が狂うのだ。
「……次は、ちゃんと周り見て動けや」
ぶっきらぼうにそう言い残し、爆豪は背を向けた。
「そうするわね」
背後から返ってきた明るい声に、爆豪の足が一瞬だけ止まる。
だが、振り返ることはなかった。
「……クソが」
小さく吐き捨てた声には、先ほどまでの苛立ちとは少し違う響きが混じっていた。
そんな爆豪の背中を見送りながら、切島はにやりと笑う。
「……お前、なんだかんだ気にしてんじゃねえか」
「うるせえ、クソ髪!」
「はいはい!」
再び始まるいつものやり取り。
そして、その騒がしさの中で、おもちは女子たちと顔を見合わせ、楽しそうに笑っていた。
どうやら彼女は、自分が周囲の人間をどれほど振り回しているのか、まだまったく気づいていないらしい。