第13章 ヒーロー仮免試験
近寄りがたいほどの美貌と実力。
それなのに、夜嵐はまるで物怖じしない。
彼の中では、彼女がどれほど美しく、どれほど強かろうと、好きになった女性であることに変わりはないのだろう。
その純粋さは、ある意味で最強だった。
もっとも、彼女の方はといえば。
――この人、本当に体力が尽きないのね……。
内心、別のことに感心していた。
試験前からあれほどの声量で話し、告白し、今も息切れ一つしていない。
その体力と精神力は、ヒーローとして十分な資質なのかもしれない。
そんなことを考えながら、彼女はテーブルの上のクッキーへ手を伸ばした。
「夜嵐くんも、何か食べたら? 試験で体力を使ったでしょう」
「自分のことまで気にかけてくださるとは!! ありがとうございます!!」
「いえ、ただの気遣いよ」
「その優しさも素晴らしいです!!」
彼女は、とうとう小さく吹き出した。
どうやら、この人に何を言っても、好意的に受け取られてしまうらしい。
それはそれで、少し困る。
けれど、真っすぐな好意を向けてくる相手を、無下に扱う気にもなれなかった。
だから彼女は、穏やかに微笑みながら、夜嵐の話に耳を傾け続けた。
そして、その光景を見ていた男子生徒たちは、そろって同じことを思っていた。
――くそっ。
――あいつ、うらやましすぎるだろ!!
おもちとの会話がひと段落した頃、ふと彼の視線が、彼女のヒーローコスチュームへと落ちた。
身体のラインにぴたりと沿う黒い衣装。大胆に開いた背中に、左右非対称のスカートから覗く白い脚。洗練されたデザインは、彼女の大人びた美貌と抜群のスタイルを、余すところなく引き立てていた。
夜嵐は、思わず息を呑んだ。
「……す、素晴らしいコスチュームですね!!」
「あら、ありがとう」
彼女は嬉しそうに目を細めた。
「デザインには、かなりこだわったの。動きやすさはもちろんだけれど、せっかくなら自分らしさも出したいでしょう?」
「なるほど!! 機能性と美しさの両立!! ヒーローとしての実用性を追求しながら、個性を表現する姿勢、実に素晴らしいっす!!」
相変わらず熱量の高い感想だった。
彼女は自分のコスチュームについて話すのが嫌いではない。
むしろ、自分なりに考え抜いたデザインを褒められたことが、素直に嬉しかった。