第3章 USJ襲撃事件編
USJに、さらなる轟音が響いた。
「――待たせたな!」
オールマイトの声。
その後ろから、次々とプロヒーローたちが駆け込んでくる。
「生徒を保護しろ!」
「ヴィランは俺たちが抑える!」
一気に戦場の勢力図が変わった。
これまで生徒たちだけで凌いでいた戦場に、プロが加わる。
死柄木が舌打ちした。
「……チッ」
周囲を見回す。
ヒーロー、教師、オールマイトそして彼女
「……お前」
死柄木の視線が彼女を捉える。
彼女は銃を下ろした。
そして、周囲を一度だけ見渡す。
増援、敵の退路、黒霧の位置、プロヒーローたちの配置。
――十分
彼女は判断した。
「……もう、潮時ね」
「何?」
死柄木が顔を上げる。
彼女は銃をしまった。
「後は、本業の方々に任せることにするわ」
「……待て!」
死柄木が叫ぶ。
彼女は振り返る。
「なんで逃げるんだよ!」
「逃げる?」
彼女は少しだけ笑った。
「違うわ」
そして。
「交代よ」
「……!」
死柄木が歯を食いしばる。
「待て!」
彼女はもう、死柄木を見ていなかった。
「俺はまだ、お前と――!」
黒霧が動く。
「死柄木弔、これ以上は危険です」
「うるせぇ!」
死柄木が彼女へ手を伸ばす。
「待て――!」
次の瞬間、黒い霧が死柄木を包み込む。
「逃がすか!」
オールマイトが踏み込む。
しかし、
「――遅い」
黒霧のワープゲートが閉じる。
死柄木の姿が消えた。
「……逃げたか」
オールマイトが拳を握る。
その一方、彼女は、静かに振り返っていた。
戦場の隅、そこには彼女の支配下に置かれた脳無が残っている。
「……来て」
彼女が小さく呟く。