第3章 USJ襲撃事件編
パァン!!
一発、弾丸が床へ。
死柄木の足元の瓦礫が跳ね上がる。
「くっ!」
避けたその瞬間、彼女が瓦礫の陰から飛び出す。
「正解」
死柄木が目を見開く。
「……!」
彼女の拳が死柄木の肩を押す。
殴るためではない。
その勢いを利用して、彼女自身が後方へ飛ぶ。
着地。
くるりと回る。
銃を構える。
「さぁ、もっと!!」
死柄木が息を荒くする。
「……お前、頭おかしいだろ」
「よく言われる」
「褒めてねぇ!」
「ふふふ」
また笑う。
その姿を、少し離れた場所から相澤が見ていた。
「……」
理解できない。
あれほど慎重だった女が。
あれほど周囲を観察していた女が。
今は何も考えずに動いている。
いや、正確には
考える必要がないほど、身体が戦場を理解している。
一瞬の視線。
一瞬の足運び。
敵の呼吸。
床の傾き。
瓦礫の位置。
味方との距離。
すべてを意識せず拾っている。
戦略を立てているのではない。
――戦場そのものと会話している。
「……これが」
相澤が呟く。
「こいつの本来の戦い方か」
彼女は、再び走り出す。
今度は死柄木へ正面から。
「来るかよ!」
死柄木が手を伸ばす。
触れれば終わる。
それでも彼女は止まらない。
「――!」
死柄木の指先が迫る。
彼女は笑った。
身体を横へ滑らせる。
そのまま死柄木の腕を掴む――寸前で手を離す。
代わりに、床へ転がっていた金属片を蹴り上げた。
金属片が死柄木の顔の前を横切る。
「なっ――」
一瞬、視界が塞がる。
その隙に彼女は背後へ。
銃口を肩越しに向ける。
「チェック」
パァン!!
死柄木の足元へ。
床が跳ねる。
死柄木が体勢を崩す。
「チェック、じゃねぇだろ……!」
「じゃあ、こっち?」
彼女が楽しそうに笑う。
「――チェックメイト」