第3章 USJ襲撃事件編
銃声が響く。
パァン!!
死柄木が身をひねる。
弾丸は頬を掠め、そのまま背後の柱へ突き刺さった。
「チッ!」
死柄木が振り返る。
――いない
「……どこだ」
次の瞬間
「ここ」
声がした。
頭上
死柄木が顔を上げる。
彼女が、天井から伸びた鉄骨の上に立っていた。
長い髪が揺れている。
銃を片手に持ったまま、まるで散歩でもしているような顔をしている。
「……お前」
死柄木が睨みつける。
「どうしてそんなに動けるんだよ」
「さあ?」
彼女は首を傾げた。
「考えてないからじゃない?」
「……は?」
彼女自身も、本当に考えていなかった。
敵の次の動き
攻撃の軌道
最適な回避方法
そんなものを、今は計算していない。
身体が勝手に動く。
右
左
前
後ろ
跳ぶ
しゃがむ
走る
撃つ
触れる
ただ、それだけ、危険なら避ける。
隙があれば撃つ。
使えるものがあれば使う。
それだけだった
「……ふふ」
彼女の口元が緩む。
死柄木が眉をひそめる。
「何笑ってんだよ」
「楽しいなって」
「……」
「だって」
彼女は鉄骨から飛び降りた。
落下しながら、壁へ向かって一発。
パァン!!
弾丸が壁に当たる。
彼女の個性が宿る。
その壁面が、まるで意思を持ったように形を変えた。
彼女は足場を蹴る。
一気に方向転換。
死柄木の背後へ回り込む。
「未知の敵なんて――」
死柄木が振り返る。
そこに彼女はいない。
「……!」
足元に彼女が滑り込む。
死柄木が手を伸ばす。
彼女は身体を反らす。
指先が髪を掠める。
そのまま床を転がり、立ち上がる。
「――最高じゃない?」
笑っていた。
「!!!?」
恐ろしいほど綺麗な笑顔だった。
普段の冷静で隙のない表情とは違う。
子どものような無邪気さ。
けれど、その瞳には戦場を駆ける者の鋭さが宿っている。
そのギャップが、かえって不気味だった。
「ねぇ、もっと遊ぼうよ」
彼女が言った。
「……遊ぶ?」
銃口を向ける。
「あなた、まだ全然私を捕まえられてないよ?」
死柄木の顔が引きつる。
「……てめぇ」
「ほら」
彼女が手招きする。
「こっち」
「……!」
死柄木が飛びかかる。
彼女は笑う。
逃げる。
死柄木が追う。
「待て!」
「嫌」
「ふざけんな!」
「だって楽しいもの…!」