第13章 ヒーロー仮免試験
「ちょ、待てって、爆豪!」
切島が慌てて追いかける。
「おいおい! いきなり単独行動かよ!」
上鳴も慌ててその後を追った。
爆豪の戦闘スタイルは、圧倒的な機動力と爆破による攻撃を組み合わせたものだ。周囲に味方が密集していては、爆風の方向や規模にも気を遣わなければならない。
彼にとっては、単独で動く方が本来の力を発揮しやすいのだろう。
その背中を見送りながら、おもちは小さく目を細めた。
「自分の強みを理解した上での判断、ということね」
飯田が眼鏡を押し上げる。
しかし、今度は轟が静かに口を開いた。
「俺も一人で行かせてもらう」
「轟くんまで!?」
麗日が驚いた声を上げる。
「俺の個性も、広範囲に影響が出ることがある。味方と距離を取った方が動きやすい」
淡々と説明した轟は、それ以上の言葉を交わすことなく、別の方向へ歩き出した。
その横顔を、おもちは一瞬だけ見つめた。
先ほどまでバスの中で自分の肩を貸してくれていた少年は、今は試験に集中している。
――もっとも、彼が時折こちらを気にしていることには、まだ気づいていなかった。
「……行こう、みんな!」
緑谷が声を上げた。
残った生徒たちは互いに顔を見合わせ、頷き合う。
「まずは山岳ゾーンだ。高低差があれば、相手の位置も把握しやすいし、見通しのいい場所を確保できれば有利になるかもしれない」
「よし、行こう!」
緑谷を先頭に、麗日、飯田、蛙吹、八百万、瀬呂、芦戸、そしておもちたちが走り出した。
足元の地形が変わり、視界の先に険しい斜面が迫る。
走りながら、緑谷は考えていた。
体育祭で、雄英の生徒たちは全国にその個性を知らしめた。
爆豪の爆破。轟の半冷半燃。自分のワン・フォー・オール。
映像が残っている以上、他校の候補生たちが事前に研究していてもおかしくない。
それどころか――。
雄英は、最初から狙われる可能性がある。
その予感が胸の奥で警鐘を鳴らしていた。
――ピーーーーーッ!!
試験開始のサイレンが、会場全体に鳴り響いた。
その瞬間だった。
「いたぞ! 雄英だ!」
「狙え! あいつらを先に落とすぞ!」
山岳ゾーンの上方から、複数の声が降ってきた。