第13章 ヒーロー仮免試験
説明を終えた目良が、気だるげにマイクを下ろした。
その直後だった。
――ゴゴゴゴゴッ!!
地面を揺るがすような轟音が響き渡り、候補生たちの目の前にあった壁が、左右に大きく開いていく。
「うわっ!? な、なんだ!?」
上鳴が思わず声を上げる。
目の前に広がった光景に、誰もが息を呑んだ。
先ほどまで自分たちが立っていた会場は、巨大な箱の内部にすぎなかったのだ。
開かれた壁の向こうには、いくつもの異なる環境が広がっていた。
険しい岩肌が連なる山岳ゾーン。高層ビルや雑居ビルが立ち並ぶ市街地。複雑な配管や巨大な設備が入り組んだ工場ゾーン。さらには、視界を遮る障害物が多く配置された区域まである。
まるで、さまざまな災害現場や戦闘状況を再現した巨大な訓練施設だった。
「すっげぇ……! こんなに広いのかよ!」
切島が目を輝かせる。
「感心してる場合じゃないよ。どこで戦うかによって、かなり有利不利が変わってくるはずだ」
緑谷は周囲を見渡しながら、すでに頭の中で状況を整理し始めていた。
今回の試験は、ただ相手にボールを当てればいいわけではない。
どこに身を置き、誰を狙い、いつ動くのか。
その判断が合否を左右する。
「デクくん、どうする?」
麗日が尋ねると、緑谷は少し考えてから口を開いた。
「まずは、みんなで連携しよう。相手の個性が分からない以上、単独で動くのは危険だと思う。僕たちは体育祭で個性をかなり見られているから、相手に対策されている可能性も高い」
「確かに。こっちの手の内は、ある程度知られてるってことか」
瀬呂が納得したように頷く。
「だったら、連携を取って相手の動きを見ながら戦うのがいいと思う。最初から無理に攻める必要はないよ」
緑谷の提案に、何人かが同意する。
その中で、爆豪だけは不機嫌そうに舌打ちした。
「ケッ。群れて動くなんざ、性に合わねぇ」
「えっ、爆豪くん?」
「まとまって動いてたら、好きに爆破できねぇだろうが。俺は俺でやる」
言い終わるより早く、爆豪は一人で歩き出した。