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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第13章 ヒーロー仮免試験


肉倉が夜嵐の襟首を掴んだ。

「試験前に何をしている! まずは自分のやるべきことを果たせ!」

「しかし肉倉先輩!! 俺は運命の女性に出会ってしまったんです!!」

「運命は仮免を取ってから語れ!!」

「はいっ!!」

返事だけは立派だった。

毛原はそのまま夜嵐を引きずるように連れていこうとしたが、夜嵐は最後まで彼女から目を離さなかった。


「おもちさん!!」

彼女が顔を上げる。


「俺は本気です!! この気持ち、絶対に諦めません!!」


「…………」

彼女は、ただ苦笑するしかなかった。

「だから、今は行くぞ!」

「はい!! 雄英高校の皆さん失礼しました!!」

毛原が慌てて頭を下げ、ケミィが軽く手を振る。

「じゃ、またねぇ。モテる女は大変だねぇ」

「……ええと、どうも」


返答に困る彼女を残し、士傑の三人は夜嵐を連れて去っていった。
遠ざかる背中から、最後まで声が聞こえてくる。


「本気ですからぁぁぁ!!」


「分かったから静かにしろ!!」


その声が人混みに消えたあと。

しばらく、A組の誰もが口を開けなかった。
最初に沈黙を破ったのは、上鳴だった。

「……すげえ」

「何が?」

耳郎が尋ねる。

「いや、だって……体育祭を見ただけで結婚を申し込むんだぞ? あの熱量、どこから出てくんの?」

「知らないよ……」

緑谷は困惑したように頬を掻いた。

「でも、あの人、推薦入試で雄英のトップクラスだったんだよね……? それなのに入学を辞退して、今度は初対面のおもちさんにプロポーズって……」

「情報量が多すぎるんだよ」

瀬呂が呆れたように言った。
芦戸は彼女の両肩を掴み、顔を覗き込む。


「大丈夫!? びっくりしたよね!? 怖くなかった!?」


「怖くはなかったわ。ただ……」


彼女は夜嵐が去っていった方向を見た。

「ずいぶん、真っ直ぐな人なのね」

その声には、困惑の中にもわずかな感心が滲んでいた。
あれほどの情熱を、初対面の相手に向けられる。
打算も、駆け引きも、見返りを求める様子もない。


もちろん、恋愛感情の強さだけで相手を理解することはできない。彼が雄英を辞退した理由も、まだ分からないままだ。
それでもあの目は、嘘をついているようには見えなかった。


――少し、興味深いわね。
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