第1章 公安からの指令
放課後の教室。
ほとんどの生徒が帰ったあと、彼女は一人で机に座っていた。
任務報告を書く。
今日の観察結果。
雄英の警備体制。
教師陣、
生徒の特徴、
問題なし。
そう書き終えたとき、
「まだいたのか」
相澤だった
「はい」
「帰らないのか」
「少し用事が」
相澤は彼女を見る。
「……今日一日、どうだった」
「問題ありません」
「そういう意味じゃない」
彼女は黙った。
「……普通でした」
「そうか」
相澤はそれ以上聞かなかった。
ただ
教室を出る直前
「ここでは、少しくらい普通の高校生をやってもいい」
彼女が顔を上げる。
「……任務中です」
「知ってる」
「なら――」
「だから言ってる」
相澤は振り返る。
「お前が何者でも、ここにいる間はA組の生徒だ」
「……」
「それを忘れるな」
扉が閉まる。
彼女は一人になった。
「……生徒」
その言葉を呟く。
彼女には
そんな感覚がよく分からなかった。