第1章 公安からの指令
午後、個性把握テスト。
グラウンドにて、 相澤が説明をする。
「合理的にいくぞ」
次々と生徒が個性を使う。
彼女はその様子を見ながら、全員の能力を分析していた。
緑谷
出力は高い
制御に問題
爆豪
瞬間火力が高い
機動力も優秀
轟
攻撃範囲、制圧力ともに極めて高い
飯田
直線的な高速移動
麗日
接触条件あり
八百万
創造能力の汎用性が非常に高い
――全員、使い方次第では非常に優秀
そして、彼女自身の番。
「次」
彼女は前に出る。
「個性は?」
相澤が尋ねる。
「軍略です」
「説明しろ」
彼女は少し考える。
「周囲の状況を把握して、最適な行動を選択できます」
「それだけか?」
「それだけです」
本当の能力は、もっと深い。
戦況、味方、敵、地形、心理
それらを瞬時に整理し、頭の中に最適解を構築する。
だが、全部を見せる必要はない。
彼女はボールを手に取った。
そして、投げる
普通なら、それほど飛ばない。
けれど、投げる直前、身体の角度、腕の振り、風向き、足の位置、すべてを最適化する。
ボールは綺麗な放物線を描いた。
「……」
記録された数値を見て、相澤が目を細める。
「悪くない」
彼女は頷いた。
「ありがとうございます」
だが、グラウンドの端で、爆豪がこちらを見ていた。
「……」
彼女は気づいていた。
――見られている。
けれど
何も言わない。