第12章 編め、必殺技!
彼女のヒーローコスチュームには、拳銃を携行するための仕掛けが組み込まれている。
つまり、今日だけのことではない。
彼女は、最初から銃を扱うことを想定していたのだ。
――彼女は一体、何者なんだ?
クラスメイトとして過ごしてきた時間が、急に違う意味を帯び始める。
そのとき、工房の奥から発目の明るい声が響いた。
「ソールの試作品、できましたー! 今度は爆発的な加速力を実現してみましたよ!」
「えっ、あ、うん! 今行く!」
緑谷は慌てて返事をした。
けれど、頭の片隅には、まだ彼女の姿が焼きついていた。
銃を構えた瞬間の、あの冷たい眼差し。
そして最後に見せた、秘密を共有するような悪戯っぽい笑顔。
彼女は、クラスメイトたちが知っているよりも、ずっと多くの顔を持っている。
そのことを、緑谷は初めて実感したのだった。