第12章 編め、必殺技!
改良されたヒーローコスチュームは、彼女の印象を大きく変えていた。
漆黒を基調とした身体にぴたりと沿う装備。大胆に開かれた背中と、左右で長さの異なるスカート。その隙間から覗く白い太腿には、拳銃を収めるホルスターが隠されている。長い巻き髪を揺らし、青い瞳を細める彼女の姿には、以前にも増して大胆不敵な雰囲気が漂っていた。
その日、彼女が向かったのはサポート科の工房だった。
「パワーローダー先生、頼んでいたものを受け取りに来たわ」
「ああ、ちょうど仕上がったところだ。今回の改良は、なかなか注文が多かったな」
パワーローダーが作業台の上に置いたのは、彼女が愛用している二丁の拳銃だった。グリップの形状や照準器、取り回しのよさなど、細部にわたって改良が施されている。
彼女は手袋をはめ、片方を手に取った。
「ありがとう。これなら、以前より扱いやすそうね」
「お前さんの注文どおりに仕上げたつもりだが、実際に使ってみないと分からん。試射場を使っていくか?」
「ええ。少しだけ、腕ならしをさせてもらうわ」
彼女は迷いなく拳銃を手にすると、試射場へと足を向けた。
そこには、普段教室で見せる優雅な仕草とはまるで違う彼女がいた。
弾を装填する手つきに、一切の迷いはない。
弾倉を確かめ、構えを整え、標的を見据える。
青い瞳から、柔らかな光が消えた。
呼吸を整え、わずかな動きで照準を合わせる。
そして――引き金を引いた。
乾いた銃声が工房に響き渡る。
標的の中心に、正確な一発が撃ち込まれていた。
彼女は結果を確認すると、銃口を安全な方向へ向け、手慣れた動作で拳銃を扱った。その一連の所作には、訓練された者特有の無駄のなさがあった。
いや、ただの訓練されたヒーロー候補生というには、あまりにも自然すぎる。
まるで、幾度となく銃を手にし、生死の境をくぐり抜けてきた者のようだった。
――手慣れた殺し屋。
そんな言葉が、ふと脳裏をよぎるほどに。
「……え?」
そのとき、工房の入り口で声がした。
脚部のソールの開発を発目明に依頼するため、サポート科を訪れていた緑谷出久だった。
彼は、たまたま扉を開けた瞬間に、その光景を目撃してしまったのだ。
銃を構える彼女。
標的の中心を射抜いた弾痕。
そして、まるで呼吸をするかのように拳銃を扱う、見たこともない彼女の横顔。
