第12章 編め、必殺技!
好きだったのか。
それとも、あの言葉に驚いただけだったのか。
彼のことを思い出すと、任務中の冷静な自分とは違う、何とも言えない感情が胸をかすめる。
まだ、それに名前をつける気にはなれなかった。
「……どうかしら」
彼女は静かに微笑んだ。
「私にも、まだ分からないわ」
その答えに、女子たちは再び大騒ぎになった。
そして、ロビーの少し離れた場所。
夕食を終えて席を立とうとしていた爆豪は、思いがけず耳に入った会話に、ぴたりと足を止めていた。
――告白されたこと、あるん!?
――一度だけ、ね。
――その人のこと、好きだったの?
――私にも、まだ分からないわ。
爆豪の眉間に、深い皺が刻まれる。
(……告白?)
知らなかった。
彼女に、そんな相手がいたことなど。
いや、彼女のことを自分がどれほど知っているというのだろう。
昼間の訓練で見せた、底知れない個性。
サポートラボで預けていた、拳銃。
そして今、女子たちに囲まれながら、誰かから告白された過去を語る彼女。
知れば知るほど、分からなくなる。
爆豪は舌打ちをひとつこぼした。
(……クソが)
どうして、こんなにも気になるのか。
その理由を考えることだけは、まだ認めたくなかった。