第12章 編め、必殺技!
夕食を終えると、彼女は食器を片づけ、女子たちが集まっているロビーのソファへと向かった。
「おもちちゃん、こっちこっち!」
芦戸に手招きされ、彼女は微笑みながら腰を下ろす。
テーブルには、いちごオレやバナナオレ、カフェオレなど、それぞれ自販機で購入したパックを片手に、談笑する。
「皆、必殺技開発に熱が入ってるよね!私も頑張らないとー」
「私も、カエルっぽい必殺技を掴めそうなの」
「へぇ、麗日は、どうなの?」
声を掛けられた麗日は、ぼーっと惚けた表情をしている。
それに気づいた八百万は、
「麗日さん、お疲れのようですわね…」
「へ!?あ、ごめん。なんか最近心がざわつくことが多くて…」
その途端、向かいに座っていた芦戸が身を乗り出した。
「え、何々!?それって恋じゃない!!???」
「えぇっ!? な、なに、鯉?故意?しらんしらんそんなの…!!」
麗日の頬が、みるみるうちに赤くなっていく。
「あーっ! その反応、絶対なんかある!」
「ないないない! ほんまにないって!」
「お相手は緑谷? それとも飯田?3人でいる事多いもんね」
「ちゃうわっ!!」
麗日が顔を隠し、自身の個性で体が宙に浮く。
「だれ?誰なのぉ?」
「ゲロっちまいなぁ、そうした方が罪は軽くなるんだぜ」
葉隠と耳郎が面白そうに話しかける。
その言葉に、麗日は両手で頬を押さえた。
「違うってばぁ……!」
耳郎がくすくすと笑う。
「麗日さんが困っているじゃありませんか、もう遅いですし、休みましょう」
「やだー!無理やりにでも恋愛に結び付けたいぃ!!」
芦戸達はすっかり盛り上がっていた。
その様子を眺めながら、彼女はもう一口、紅茶を飲んだ。
(……これが、ガールズトークというものなのね)
心の中で、しみじみと呟く。
恋愛の話題ひとつで、こんなにも盛り上がれるものなのか。
誰かの表情の変化を見逃さず、些細な反応から相手の気持ちを推測し、あれこれと想像を膨らませる。