第11章 入れ寮 ハイツアライアンス
金色の瞳が、満足そうに細められる。
『ふむ。これならば、窮屈でもあるまい』
「ええ、上出来よ」
彼女は再びシャワーの蛇口をひねった。
勢いよく流れ出した湯を、龍の頭から背中へと浴びせる。
黄金の鱗を伝って、透明な水滴がぽたぽたと落ちていった。
『おお……これはよい』
龍は気持ちよさそうに目を細め、長い身体をくねらせた。
まるで、長い眠りから目覚めて以来、初めて心からくつろいでいるかのようだった。
「気に入った?」
『当然だ。やはり水はよい』
「それは何よりね」
彼女は笑いながら、龍の背中にシャワーを当て続けた。
すると、龍はふと彼女へ視線を向けた。
金色の瞳が、頭から肩、そして濡れた髪へと移っていく。
『……しかし』
「何?」
『この個性は、力だけではなく、美しさも伴っているのだな』
「……は?」
思わず、彼女は手を止めた。
龍は至極真面目な顔をしていた。
『主の容姿もまた、この力にふさわしい。そういうことだ』
「ちょっと待って。今、何を言っているの?」
『聞こえなかったのか?』
「聞こえたから聞き返しているのよ!」
思わず声が大きくなる。
龍は不思議そうに首を傾げた。
『事実を述べただけだが』
「……あなたねえ」
彼女は額に手を当てた。
目覚めたばかりの頃は、あれほど威厳に満ちた存在だったというのに。今では、妙に人間くさいところがある。
しかも、本人は自分の発言に何の問題も感じていないらしい。
「余計なことを言っていないで、ちゃんと洗われなさい」
『む。主は照れているのか?』
「黙りなさい」
『……承知した』
龍は不服そうにしながらも、再びシャワーを浴び始めた。
そのときだった。
脱衣所へと続く扉が開き、賑やかな声が聞こえてきた。
「いやー、今日はいろいろあったねえ!」
「本当だよ。荷物の整理だけでも結構時間かかっちゃったし」
芦戸と麗日を先頭に、女子たちが続々と大浴場へ入ってくる。
そして、洗い場にいるおもちの姿を見つけた。
「あっ、おもちちゃん!」
「先に入ってたんだ!」
「ええ。今、ちょうど身体を洗っていたところよ」
彼女がいつもどおりに微笑んだ、その直後だった。
「……え?」
芦戸の視線が、彼女の隣にあるものを捉えた。