第11章 入れ寮 ハイツアライアンス
一日の疲れを癒やそうと、おもちは着替えとタオルを手に、共用の女子風呂へと向かった。
脱衣所を抜けると、目の前には想像していた以上に広々とした大浴場が広がっていた。
「……へえ。思ったより立派なのね」
思わず感心しながら、彼女は洗い場の一角に腰を下ろした。
シャワーを浴び、髪を濡らしていると、不意に頭の中へ声が響いた。
『……水浴びがしたい』
「……は?」
あまりにも唐突な一言に、彼女の手が止まった。
『聞こえなかったのか。我も水浴びがしたいと言っている』
「聞こえているわ。だから、急にどうしたの?」
『身体が汚れているわけではない。だが、水に浸かるのは気持ちがよいだろう』
どこか不満げな声だった。
彼女はしばらく考え、それから小さく頷いた。
「まあ……龍は古来から水をつかさどる存在とも言われているし、そういうものなの?」
『当然だ』
妙に得意げな返事が返ってくる。
「……ずいぶんと偉そうね」
『我を誰だと思っている』
「はいはい。」
彼女は呆れたように笑い、シャワーを止めた。
「出てきてもいいわよ。ただし、条件がある」
『条件?』
「できるだけ身体を小さくすること。大きさは、私の身長くらいまでに調整してちょうだい。ここは学校の寮なの。巨大な龍が出現したら、大騒ぎになるでしょう?」
『ふむ……それもそうか』
意外にも、龍は素直に承諾した。
『よかろう。主の命とあらば』
「ええ。お願いね」
その瞬間、彼女の身体から柔らかな黄金の光が溢れた。
光は彼女の背後で渦を巻き、ゆっくりと形を成していく。
やがて現れたのは、以前、戦場を覆い尽くすほどの威容を誇った黄金の龍――その姿を小さくしたものだった。
それでも、全長は彼女の身長ほどある。細長い身体に、金色の鱗。額から伸びる角は美しく、鋭い爪を持つ四肢が宙に浮いていた。