第11章 入れ寮 ハイツアライアンス
その後も部屋巡りは続いていく。1階のロビーに向かう道中、
「おもちちゃんの部屋、意外やったわぁ……」
麗日がぽつりと呟いた。
「だよね!」
三奈も驚いたように彼女を見る。
「なんか、もっとこう……おしとやかな感じかと思ってた!」
「わかる!」
葉隠も声を上げる。
「部屋もめっちゃ可愛かったし!」
彼女は自分の部屋を振り返った。
「そう?」
「そうだよ!」
八百万も少し考えるように彼女を見る。
「確かに……普段の印象とは少し違いますわね」
「そうかなぁ」
本人は首を傾げる。
「普通だと思うけど」
「普通じゃないだろ!」
上鳴がすかさず突っ込んだ。
「学校だと、A組の謎めいた美女で通ってて、部屋はふわふわ可愛い系なのに、謎の灰皿!!」
「しかも本人が全然慌てない!」
切島も苦笑する。
「なんつーか……お前、掴みどころねぇよな」
「そう?」
「そうだよ!」
今度はクラスの何人かが声を揃えた。
彼女は目を瞬かせる。
「……私、そんなに?」
「そんなに!」
三奈が即答した。
「普段は普通に優しいし、話しかけたらちゃんと答えてくれるのに、なんか自分のことになると全然喋らないじゃん!」
「確かに」
耳郎も頷く。
「まあ、気にしないで」
「いや、気になるだろ!」
また笑いが起こる。
そんな中、緑谷だけは顎に手を当てて、彼女をじっと見つめていた。
上鳴は
「おもちちゃんさ、秘密多すぎだろ!」と指摘する。
彼女は少しだけ笑う。
「女の子から“隠し事”を取ったら、何にも残らないわよ?」
一瞬、静かになった。聞いた上鳴はごくりと喉を鳴らす。不敵に笑う彼女に誰も目が離せない。
そして――。
「……確かに!」
三奈が笑った。
「なんかもっと知りたくなってきたわ!」
「分かる!」
「まだまだ秘密ありそう!」
次々と声が上がる。
彼女は困ったように笑った。
「……そんなに期待されても困るんだけど」
けれど、その言葉とは裏腹に。
彼女自身も、ほんの少しだけ楽しそうだった。
――自分のことを、こんなふうに知ろうとしてくれる人たちがいる。
それは、今まであまりなかったことだった。