第3章 USJ襲撃事件編
「……?」
彼女は銃を軽く持ち上げた。
「敵は、私が拳銃を使っていると思う」
一発。
銃弾。
そして敵は、「銃の能力」だと判断する。
「だから、次に私が個性を使っても……」
彼女は脳無を見る。
「銃弾そのものに個性を纏わせたとは、気づかれにくい」
相澤が目を見開く。
「……騙し討ちか」
「はい」
彼女は初めて、ほんの少しだけ笑った。
「一段目は、武器」
銃を下ろす。
「二段目が、個性です」
その瞬間、遠くから低い声が響いた。
「……なんだ、あれ」
死柄木だった。
彼の視線が、彼女へ向いている。
今まで興味すら示していなかった女。
その女が、自分たちの対平和の象徴である脳無を操っている。
「……お前、何者だ?」
死柄木の手が、ゆっくりと上がる。
彼女は答えなかった。
ただ、銃を構え直す。
そして、初めて自分の意思で、敵の前線へ踏み込んだ。
「今は――」
相澤を一瞥する。
「先生を助けるのが先です」
その声には、任務中の冷静さとは違うものがあった。
仲間を守る者の声。
相澤はそれを聞いて、わずかに目を細める。
――こいつ、今までずっと、自分を隠していた。
けれど今、初めて、自分から前に出た。
彼女は銃を握り直す。
「……行きます」
その一言とともに。
彼女は、戦場へ駆け出した。