第11章 入れ寮 ハイツアライアンス
雄英高校の敷地内に入り、寮へと続く道を歩いていく。
やがて、寮の前に集まる生徒たちの姿が見えてきた。
ほとんどの生徒がすでに到着しているようだった。談笑している者もいれば、大きな荷物を抱えている者もいる。
その少し離れた場所では、相澤が腕時計を確認していた。
彼女は歩みを緩めた。
見慣れた背中。聞き慣れた声。
たった数週間離れていただけなのに、妙に懐かしい。
少しだけ、声をかけるのをためらった。
けれど、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。
彼女は鞄を持ち直し、クラスメイトたちのもとへ歩み寄った。
「……みんな、久しぶり」
控えめに声をかけた、その瞬間だった。
「おもちさん!」
真っ先に反応したのは、緑谷だった。
彼は弾かれたように振り返ると、彼女の姿を認めるなり、勢いよく駆け寄ってきた。
「よかった……!本当に、よかった……!」
目の前まで来た緑谷は、何かを言おうとして、何度か口を開閉した。
その表情には安堵と喜び、そして、ずっと抱え込んでいた後悔が入り混じっていた。
「僕、あのとき……君を助けてあげられなくて、ごめん!」
深く頭を下げる。
「君が捕まっていたのに、僕たちは……。目の前にいたのに、何もできなくて……!」
その声は、次第に小さくなっていった。
林間合宿での襲撃。
自分たちの仲間が連れ去られたこと。
そして、救出に向かった先で目にした、あまりにも圧倒的な敵の存在。
緑谷は、あの日のことを忘れたわけではなかった。
助け出せた仲間がいた一方で、彼女を救うことはできなかった。
その事実が、ずっと胸に残っていたのだろう。
彼女は困ったように眉を下げた。
「緑谷くん」
「……っ」
「謝らないで」
そう言って、彼女はそっと微笑んだ。