第10章 神野区の悪夢編
「任務を中断すれば、築いた関係が失われる。
内通者を取り逃がす危険がある。どれも間違ってないよ。
でもさ、それだけなら、君がそこまで即答する必要はないんじゃない?」
ホークスは彼女の反応を確かめるように、少しだけ首を傾げた。
「君、いつからそんなにA組のことを気にするようになったの?」
「……」
「公安の任務って、感情を切り離して判断するものだよね。任務に必要なら、どれだけ親しくなった相手だって切り捨てる。君だって、それくらい分かってるはずだ」
彼女は答えなかった。
ホークスは、さらに核心へと踏み込んだ。
「なのに君は、あの子たちとの信頼関係を何度も口にする。まるで、手放したくないみたいに」
「馬鹿なことを言わないで」
彼女の声が、鋭く響いた。
「私は任務の合理性について説明しているの。感情論を持ち込んでるのはどっち?」
「へえ。じゃあ、どうしてそんなに怒ってるの?」
「……っ!」
ホークスは、相変わらず穏やかな顔をしていた。