第10章 神野区の悪夢編
街頭に設置された大型モニターには、崩壊した戦場の映像が映し出されていた。
人々は足を止め、固唾を呑んで画面を見つめている。
誰もが知っていた。
平和の象徴、オールマイトが、今まさに命を懸けて戦っていることを。
「オールマイト……!」
緑谷出久は、拳を握り締めたまま画面を見つめていた。
隣には爆豪勝己、轟焦凍、飯田天哉、切島鋭児郎、八百万たちの姿がある。
誰もが傷だらけで、疲労も隠しきれない。それでも、画面から目を逸らす者はいなかった。
やがて、オールマイトの拳が振り抜かれる。
「――PLUS ULTRA!!」
その一撃が、戦場を揺るがした。
画面越しにも伝わる凄まじい衝撃。舞い上がる粉塵。そして、地面に倒れ伏すオール・フォー・ワンの姿。
一瞬、誰もが息を止めた。
次の瞬間。
『オールマイト、勝利!!』
中継の声が響いた。
「うおおおおおおっ!!」
街中が歓声に包まれた。
誰かが泣きながら拳を突き上げ、誰かが隣の人と抱き合う。張り詰めていた空気が一気に弾け、あちこちからオールマイトを称える声が上がった。
「やった……!」
緑谷の目から、涙がこぼれ落ちた。
「勝った……オールマイトが……勝ったんだ……!」
声が震える。
あの姿を見ていたからこそ、分かっていた。
オールマイトは、もう限界だった。
それでも最後まで立ち上がり、誰かを守るために戦い抜いた。
「よかった……本当に、よかった……!」
麗日は口元を押さえ、涙を浮かべながら何度も頷いた。
「オールマイト……!」
切島も顔をくしゃくしゃにして笑っていた。
「やっぱ、すげえよ……あの人は……!」
轟は安堵したように息を吐き、飯田は眼鏡を押し上げながら、拳を強く握り締めていた。
「これで……ひとまず、最悪の事態は免れた……!」
誰もが、オールマイトの勝利を喜んでいた。