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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第10章 神野区の悪夢編


薬品の影響は、まだ完全には抜けていない。身体の奥に鈍い倦怠感が残っている。


それでも、先ほどまでのように力が入らないわけではなかった。

指先を軽く動かす。

空気の流れが分かる。

地面の振動が分かる。

周囲にいる人間たちの個性が、まるで自分の手の届く場所に存在しているかのように感じられる。


――使える。


自分の個性が、戻ってきた。


いや、違う。
今まで使っていた力が戻っただけではない。
これまで自分の中で眠っていた、絶対支配の本当の力が目覚めたのだ。


彼女は、自分の手を見つめた。
そして、ゆっくりと顔を上げる。


視線の先には、オール・フォー・ワンがいた。
先ほどまでの余裕は、わずかに失われている。


彼は彼女を見つめ、何かを探るように沈黙していた。

自分が何をしたのか。

彼女の中に、どれほどの力が眠っていたのか。

その答えを得られず、混乱しているのだろう。

彼女は、そんな男に向かって歩き出した。



一歩。
また一歩。


純白のドレスが、瓦礫の上を静かに滑る。
そして、目の前で足を止めた。


「……さて」


彼女は、にっこりと笑った。
その笑顔は、普段クラスメイトたちに見せる柔らかなものとは、まるで違っていた。


美しい。
けれど、背筋が凍るほど恐ろしい。


相手の逃げ道をすべて把握し、どこへ動こうとも逃がさないと告げるような、静かな笑みだった。


「どうやら、私の個性が使えるようになったみたいだから」


オール・フォー・ワンの身体が、わずかに強張る。

彼女は首を傾けた。

「今から、反撃するけど……覚悟してね」


その言葉を聞いた瞬間。

戦場にいたすべての者が、直感的に理解した。

本当の戦いは、ここから始まるのだと。
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