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光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第10章 神野区の悪夢編


「…………」



彼女の姿が瓦礫と煙に隠れ、見えなくなる。
その瞬間、爆豪の胸の奥で、何かが音を立てて崩れた。


「……クソッ、クソッ……!」


拳を握る。

爪が掌に食い込むほど、強く。

何もできなかった。
あいつがどんな目に遭っているのかも分からない。


個性が使えないと知っていたのに。
いつも平然としていて、誰よりも冷静で、何を考えているのか分からないあの女が。


今は、ヴィランに抱えられたまま、目を覚まさない。

あのとき、もっと早く異変に気づいていれば。

あいつが食事を残したとき、もっと強く問い詰めていれば。

木陰で二人きりになったとき、あんなふうに笑っている彼女を見て、何かを察することができていたら。


――何か、変わっていたのか。
答えなど出るはずがなかった。


「爆豪……」


切島が、心配そうに声をかける。


「……話しかけんな」


いつもの鋭い声だった。

けれど、その声には普段のような勢いがなかった。


爆豪は顔を歪め、眼下の景色を睨みつける。
怒りも、恐怖も、悔しさも。

どうしようもない感情が、胸の中でぐちゃぐちゃに絡み合っていた。


彼女を助けたかった。
自分の手で。
あの男から引き剥がし、無事を確かめて、いつものように憎まれ口を叩いてやりたかった。


なのに、できなかった。
今の自分では、何もできない。
その事実が、何よりも腹立たしかった。


「……絶対に、取り戻せ」


爆豪は、誰にも聞こえないほど低く呟いた。

「オールマイト……!」

地上では、まだ戦いが続いている。
爆豪は奥歯を噛み締めたまま、二度と振り返らなかった。


今は逃げるしかない。
オールマイトを信じるしかない。
そう判断した自分の決断を、間違いだったとは思わない。
それでも。


彼女を置いてきたという事実だけは、どうしても受け入れられなかった。
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