第3章 USJ襲撃事件編
目的地に到着すると、一行は施設の中へ入っていった。
「ここが、USJだ」
相澤が説明する。
ウソの災害や事故を想定した、雄英の救助訓練施設。
今日のヒーロー基礎学は、前回の戦闘訓練とは違う。
――レスキュー訓練
ヒーローの本来の役割とも言える、人命救助について学ぶ授業だ。
本来なら、ここにはオールマイトもいるはずだった。
「悪いが、オールマイトは来られなくなった」
相澤が告げる。
「また何かあったんですか?」
「色々とな」
彼女は黙っていた。
叔父が、限界まで活動していることは知っている。
それでも、生徒たちの前では何も言わない。
代わりに今日の指導を担当するのは、相澤と――。
「スペースヒーロー・13号です」
宇宙服を思わせる特徴的な姿のヒーローが前に出る。
「私は救助活動を専門としていて、ここUSJで皆さんのような次世代のヒーローを育てています」
生徒たちが興味深そうに話を聞いている。
彼女も13号を観察する。
――救助専門。
戦闘能力ではなく、人命救助に特化したヒーロー。
その存在そのものが、今日の授業の意味を示している。
「皆さんには、様々な災害現場を想定した訓練を――」
その時、施設の中央に、不自然な黒い霧が現れた。
「……?」
彼女の目が細くなる。
空気が変わった。
「何だ、あれ……?」
生徒たちがざわめく。
相澤が前へ出る。
「13号、生徒を――」
言葉が途切れ、黒い霧から、次々と人影が現れる。
一人
二人
十人いや、それ以上。
「……ヴィラン?」
誰かが呟いた。
彼女の思考が一瞬で切り替わった。
訓練ではない。
これは――実戦だ。
そして黒い霧の中心から、一人の男が姿を現す。
「オールマイトはどこだ?」
死柄木弔という名を彼女は知らなかった。
だが、雰囲気だけで分かる。
中心人物、そして、あの黒い霧。
――転移系。
周囲に展開しているヴィランの数。
戦力差が大きすぎる。
「皆、下がれ!」
相澤が叫ぶ。
しかし、生徒たちは動けなかった。
「先生がいるから大丈夫だ」
「相澤先生なら負けないよ」
「そうだよな……!」
彼女は、その言葉に眉を寄せる。違う、そうじゃない。相澤の個性は強力だ。
だが、万能ではない。視線を切れば解除される。