• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

光の裏側で、君と ※ヒロアカの爆豪寄り

第9章 林間合宿


「……」


緑谷は、敵の一人をまっすぐに見据えた。

青い炎を操る男は、壁にもたれかかるようにして、面倒くさそうにこちらを眺めている。

「おもちさんをどこに連れ去った?」

その問いに、荼毘は一瞬だけ目を細めた。

「……ああ、あの女か」

まるで、たいしたことではないとでも言うような口ぶりだった。

緑谷の拳に力がこもる。

「どこにいるんだ!」

「そう急かすなよ。そんなに気になるのか?」


荼毘は口元を歪めた。


「体育祭、見てたぜ」

「……!」


「派手な個性だったよな。周囲の状況を支配するような、あの妙な力。攻撃を防ぐだけじゃねぇ。使い方次第じゃ、戦場そのものをひっくり返せる」


荼毘は、まるで興味深い玩具について語るように続けた。

「ボスは、あの個性にいたく興味を示していた」

緑谷の表情が強張る。

「……どういう意味だ」

「さあな。俺はボスの考えを全部知ってるわけじゃねぇ」

荼毘は肩をすくめた。

「ただ、あれだけ欲しがってるんだ。しかもあんな美人、そうそう見かけねぇ。何をするつもりかなんて、想像つくだろ?」


その言葉に、緑谷の背筋が凍った。
個性だけでなく、彼女自身を、欲しがっている。

「……個性を、奪うつもりなのか?」

荼毘は答えなかった。


ただ、薄く笑っただけだった。


その沈黙が、何よりも雄弁だった。

「そんな……!」

緑谷は息を呑んだ。


彼女は今、個性を使えない。
その状態を敵に知られている。

しかも、彼女の個性を狙っている者がいる。

「おもちさんは、今、個性が使えないんだ!」

思わず声が大きくなる。

「そんな彼女から、何を奪うっていうんだよ!」

「だからこそ、だろ」

荼毘の声は冷たかった。

「抵抗できない相手を捕まえる。欲しいものを手に入れる。ヴィランらしい話じゃねぇか」


「……っ!」
緑谷の全身に怒りが走った。
/ 603ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp