第9章 林間合宿
夜の森に、マンダレイの声が響き渡った。
『A組のみんな、聞こえる!?』
頭の中に直接届く声に、生徒たちは一斉に顔を上げた。
『イレイザーヘッドの指示よ!これより、全生徒の個性使用を許可します!』
その言葉に、緊張が走る。
『ヴィラン連合が林間合宿を襲撃しているわ。敵の数は多い!できるだけ戦闘は避けて、施設に向かって逃げて!』
マンダレイの声が、わずかに強張った。
そして、続く言葉が生徒たちを凍りつかせた。
『……ヴィランの狙いは、かっちゃん。それから、おもち!!』
「……は?」
爆豪が、低く声を漏らした。
「俺と……あいつだと?」
「おもちさんまで!?」
麗日の悲鳴が上がる。
轟はすぐさま周囲を見渡した。
先ほどまで一緒にいたはずの彼女は、肝試しに参加せず、施設へ戻った。
その彼女が、まだ誰とも合流していない。
『みんな、聞いて!おもちの居場所はまだ分かっていないわ!自分の身を守ることを最優先にして!絶対に無理をしないで!』
通信が途切れた。
森の中には、ヴィランの襲撃による爆発音と、逃げ惑う生徒たちの声が響いている。
「クソッ……!」
爆豪が拳を握りしめた。
「何であいつまで狙われてんだよ!」
「今は考えている場合じゃない。施設に向かうぞ」
轟の声は冷静だったが、その目には明らかな焦りが滲んでいた。
彼女は個性が使えない。
そんな状態で、ヴィランに狙われている。
その事実が、嫌な想像を次々と呼び起こす。