第9章 林間合宿
午後の訓練が終わる頃には、空が夕焼けに染まり始めていた。
「よーし、今日はカレーだ!」
施設に戻ってきた生徒たちに、マンダレイが告げる。
「カレー!?」
「やったぁ!」
疲れ切っていた生徒たちから歓声が上がった。
「ただし、食べるだけじゃないわよ。今日はみんなで協力して作るの!」
「ええっ!?」
上鳴が大げさに声を上げる。
「文句言わない!自分たちで作ったご飯は格別よ!」
その言葉に、A組だけでなくB組の生徒たちも集まってきた。
大人数のカレー作りが始まる。
ところが、調理場に入った彼女は、野菜や肉の量を確認するなり、手際よく準備を始めた。
玉ねぎを切り、にんじんの皮をむき、じゃがいもを適度な大きさに切り分ける。肉も人数に合わせて下ごしらえを済ませ、調理器具を使いやすい位置に並べていく。
その動きに、無駄がなかった。
「……え、ちょっと待って」
芦戸が目を丸くする。
「おもちちゃん、手際よすぎない!?」
「そう?これくらいしかやることないから」
彼女は微笑みながら、次の野菜に手を伸ばした。
「人数が多いから、先に下ごしらえを済ませておいたほうが、みんなも動きやすいでしょう?」
気づけば、A組の分だけではなく、B組の分まで、最低限の下ごしらえがほとんど終わっていた。
「うわっ、マジかよ!俺たちが来る前に、ここまでやってくれたのか!?」
切島が驚きの声を上げる。
「ありがとね、おもち!」
B組の拳藤も、感心したように頭を下げた。
「いえいえ。あとはみんなで仕上げましょう」
彼女はそう言って、エプロンについた野菜くずを軽く払った。
その姿を見た芦戸が、ふと何かを思いついたように顔を輝かせる。